忙しい日常の中で、なんとなく気持ちが落ち着かない。
頭の中が常にフル回転していて、リラックスする時間が持てない。
そんな悩みを抱える人は少なくありません。
現代社会では情報量が膨大で、私たちの脳は常に処理を強いられています。
その結果「ストレスがたまっている」と感じるのも当然のことです。
そんな中、海外の研究者やメディアが注目しているのが、日本人にとってなじみ深い「抹茶」です。
オーストラリアのニュースサイト News.com.au でも、抹茶が持つ可能性について紹介され、特に「ストレスとの関係」にスポットが当てられています。
抹茶の中にある特別なチカラ ― カテキンとは?
抹茶といえば、鮮やかな緑色と深い香りが特徴の日本のお茶。
ですが、ただの飲み物として楽しむだけではもったいないほど、栄養がぎゅっと詰まっています。
その中でも特に注目されているのが「カテキン」という成分です。
カテキンはお茶に含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用を持つことで知られています。
つまり、体内で発生する余分な活性酸素と結びつき、細胞へのダメージを抑える働きが期待できる物質です。
健康や美容の分野ではすでに広く知られていますが、近年の研究では「脳や心」にも影響するのではないかと報告されています。
認知ストレスを和らげる可能性
オーストラリアの研究では、カテキンを摂取したグループが、そうでないグループに比べて「認知的ストレス(頭の中で感じる負担感)」が低い傾向を示したという結果がありました。
(参考:News.com.auの記事)。
これは「頭の中が軽くなるような感覚」と言い換えても良いかもしれません。
たとえば、人前でプレゼンをするときや、締め切りに追われているとき、心臓がドキドキしたり、頭の中が混乱したりすることがありますよね。
これがいわゆる「認知ストレス」です。
完全に取り除くことはできませんが、抹茶に含まれるカテキンをはじめとした成分が、そうした負担をやわらげる方向に作用する可能性が示されているのです。
もちろん、これは薬のように即効性があるという意味ではありません。
毎日の生活習慣の中で少しずつ取り入れることで、じわじわと心にゆとりをもたらしてくれる ― そんな自然なサポート役として期待されています。
抹茶のリチュアル(習慣)が心を整える
抹茶の魅力は成分だけにとどまりません。
実際に抹茶を点てるときの動作や、抹茶をいただく空間そのものにも、ストレスを和らげるヒントが隠れています。
お湯を沸かし、茶碗に抹茶を入れ、茶筅(ちゃせん)でゆっくり泡立てる。
この一連の流れには「マインドフルネス」に近い要素があります。
つまり、ひとつひとつの所作に意識を集中することで、心が自然と“今ここ”に戻ってくるのです。
忙しい日常の中で、スマホやパソコンに追われる私たちにとって、数分間でもこうした静かな時間を持つことは、心のリセットにつながります。
抹茶が「ただの飲み物ではない」と言われる理由は、まさにここにあるのです。
海外で広がる「抹茶ブーム」
日本人にとっては昔から身近なお茶文化ですが、実は海外では「抹茶ラテ」や「抹茶スイーツ」といった形で人気が急上昇しています。
特に欧米では「自然由来のストレスケア」として抹茶が取り上げられ、若い世代を中心に日常的に取り入れる人が増えているのです。
コーヒーの代わりに抹茶を選ぶ人も多く、その理由として「カフェインの働き方の違い」があります。
コーヒーは急激に覚醒させるのに対し、抹茶に含まれるカフェインはアミノ酸の一種「テアニン」と組み合わさることで、より穏やかな作用をもたらすといわれています。
そのため「集中しながらもリラックスできる」という独特の体験が、海外でも評価されているのです。
生活にどう取り入れるか
では、私たちが日常で抹茶をどのように取り入れればいいのでしょうか。
難しい作法にこだわらなくても大丈夫です。
朝のコーヒーを一杯の抹茶に変えてみる。
おやつタイムに抹茶ラテを作ってみる。
あるいは夜のリラックスタイムに、静かに抹茶をたてて飲む。
ほんの少しの工夫で、抹茶は私たちの生活に自然に溶け込んでいきます。
重要なのは「心地よい習慣」として続けること。
抹茶を飲むことで“ホッとできる時間”を作ることが、ストレスケアに直結していくのです。
まとめ
抹茶は、古くから日本で愛されてきた伝統的な飲み物でありながら、現代科学によって新しい価値が見直されています。
カテキンをはじめとした成分が脳や心に働きかける可能性があり、さらに抹茶をたてるという行為自体も、心を整えるセラピーのような効果をもたらしてくれるのです。
ストレス社会を生き抜く私たちにとって、抹茶は「ただの飲み物」以上の存在。
日々の生活の中で取り入れることで、頭と心をすっきりさせ、自然と自分らしいリズムを取り戻すサポートをしてくれるでしょう。