心と体のつながり

“感情は心の中だけ”はウソ? 体に描かれる“感情の地図”

霞沢 彩花

霞沢 彩花(かすみざわ あやか)です。 健康や心のケアに関する情報を、やさしく分かりやすくお届けしています。 ずっと寄り添える「あなたの健康パートナー」でありたいと思っています。

これまで「感情は心で感じるもの」と言われてきました。

悲しいとき、嬉しいとき、怒ったとき──

そうした感情は“心の問題”であり、体とは関係がないと考えられてきたのです。

けれども最近、世界中の研究者たちが「感情は体の中でも感じられる」という事実を、科学的に証明しはじめています。

つまり、「感情は心の中だけにある」というこれまでの常識は、もう通用しないのかもしれません。

感情が「体のどこで」感じられるのか?

たとえば、怒ったとき。

顔が熱くなったり、心臓がドクドクと早く動いたりすることがありますよね。

悲しいときには胸がギュッと締めつけられるような痛みを感じたり、

不安なときにはお腹がキリキリと痛むこともあるでしょう。

これは気のせいではありません。

「感情マッピング研究」と呼ばれる実験では、

人が特定の感情を抱いたとき、体のどの部分が温かくなり、どこが冷たくなるのかを可視化したデータが発表されています。

怒りは頭と腕の部分が熱く、悲しみは胸から脚が重くなる。

愛情は胸が温かく、幸福は全身がやわらかく明るくなる──

そんなふうに、感情によって“体の反応の地図”が違ってくるのです。

心と体はひとつのシステム

こうした研究が示しているのは、

「心と体は別々に存在しているわけではない」ということです。

私たちが感情を感じるとき、脳の中では神経伝達物質やホルモンが放出され、

それが血流を通って全身に伝わります。

たとえば、怒りを感じたときにはアドレナリン、

不安を感じたときにはコルチゾールといったホルモンが分泌され、

体の筋肉や内臓の働きにも影響を与えるのです。

つまり、「心の変化が体に届く」だけでなく、

「体の状態が心に影響する」こともあるということ。

お腹の調子が悪いとイライラしたり、姿勢を正すと気持ちが前向きになったりするのは、その一例です。

感情を無視すると、体がサインを出す

私たちは日々、さまざまな感情を感じています。

でも、多くの人はその感情を“考えすぎ”て押し込めたり、

「我慢しなきゃ」

「こんなことで落ち込んではダメ」

と自分を責めてしまいます。

すると、行き場を失った感情が体の中にたまり、

肩こりや胃痛、頭痛、慢性的な疲労として現れることがあります。

まるで、体が「ちゃんと気づいて」と言っているかのように。

感情を無視することは、心だけでなく体にとっても負担になります。

逆に、涙を流したあとや、誰かに気持ちを打ち明けたあとにスッキリするのは、

感情が体の外に“解放された”サインです。

体の声を聞くということ

感情は「心の言葉」であり、体は「心のスピーカー」です。

だから、自分の体の感覚を丁寧に観察することは、

心の声を聴くことでもあります。

もし胸が苦しいなら、

「何か我慢しているのかもしれない」

肩が重いなら、

「無理をしているサインかもしれない」

そんなふうに体に意識を向けてみると、

“自分でも気づかなかった本音”が見えてくることがあります。

マインドフルネスやボディスキャン瞑想なども、

まさにこの「体に宿る感情の気づき」を高める方法として注目されています。

感情のマップを描くように、自分を知る

ある研究者は、「感情は脳の中ではなく、体全体で感じている」と話しています。

私たちが“感情的になる”とき、実際には脳と体の両方が一緒に動いているのです。

自分の感情を体で感じることを恐れず、

「あ、今は胸の奥が熱いな」

「足が冷たい気がする」

といったサインを受け取る。

その積み重ねが、“自分を理解する力”を育てます。

心を癒す第一歩は、体の声に耳を傾けること。

そして、体の声を通して、心をやさしくほどいていくこと。

それこそが、これからの時代の「心と体のウェルネス」の新しいかたちです。

まとめ:感情は「心の中だけ」ではなく「体の中にもある」

感情とは、目に見えないエネルギーです。

でも、確かに体の中で動いています。

だからこそ、つらいときほど「体を感じること」が大切。

頭で考えるよりも、体で感じること。

その瞬間、あなたの中にあった“閉じ込めた感情”がゆっくりと解けていくでしょう。

感情の地図を描くように、自分の心と体をひとつに戻してあげてください。

それが本当の意味で「癒し」がはじまるサインです。

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