脳と神経の栄養

B12、実は日本人にも不足がち?認知と神経に重要なその理由

霞沢 彩花

霞沢 彩花(かすみざわ あやか)です。 健康や心のケアに関する情報を、やさしく分かりやすくお届けしています。 ずっと寄り添える「あなたの健康パートナー」でありたいと思っています。

「ビタミンB12(B12)」と聞くと、なんとなくビタミンB群のひとつ…というくらいの認識かもしれません。

でも実は、脳の働きや神経の健康に深く関わる、とても重要な栄養素なのです。

日本人は比較的バランスの良い食事をしているイメージがありますが、B12に限っては「気づかないうちに不足している人」が少なくありません。

特に、**高齢者・菜食者・アクティブに運動をする人(サイクリング愛好家など)**は要注意といわれています。

今回は、そんなB12の働きと、不足するとどうなるのか、そしてどんな人が意識して摂るべきなのかを分かりやすく解説していきます。

■ B12は「脳と神経のビタミン」

B12は、私たちの体の中で「神経の絶縁体」を守る役割を担っています。

たとえば電線の周りにあるゴムのカバーを思い出してみてください。

あれがないと電気が外に漏れてショートしてしまいますよね。

B12は、まさにその「カバー」にあたる「髄鞘(ずいしょう)」を作る材料なのです。

B12が不足すると、このカバーが弱くなり、神経の伝達がスムーズに行われなくなってしまいます。

その結果、手足のしびれや集中力の低下、気分の落ち込み、記憶力の低下などが起こりやすくなると報告されています。

さらにB12は、DNAの合成や赤血球の生成にも関わっており、貧血や疲労感にも関係しています。

「なんとなく頭がぼんやりする」

「最近ミスが増えた」

と感じる人は、B12不足を疑ってみてもいいかもしれません。

■ 日本人が不足しやすい理由

意外かもしれませんが、日本人のB12摂取量は減少傾向にあります。

昔は魚を日常的に食べていたため十分に足りていましたが、近年は肉や加工食品中心の食生活が増え、魚離れが進んでいます。

B12は**主に動物性食品(特に魚介類やレバー、卵、乳製品)**に多く含まれています。

つまり、魚をあまり食べない人や、動物性食品を控える菜食者(ヴィーガン・ベジタリアン)ほど不足しやすいのです。

しかもB12は腸で吸収される際に「内因子」という物質が必要なのですが、加齢によってこの内因子が減少します。

そのため、高齢者は食べていても吸収できないケースも多いのです。

■ サイクリストがB12を意識したい理由

サイクリングのような長時間の有酸素運動は、心肺機能を高める一方で、酸化ストレスが増えやすい側面もあります。

このときB12がしっかり働いていれば、神経や筋肉への信号伝達がスムーズに行われ、疲労回復や集中力の維持に役立ちます。

逆にB12が不足していると、神経の伝達が乱れ、筋肉の反応が鈍くなったり、トレーニング後の回復が遅れることも。

いくらプロテインや炭水化物を摂っても、神経の働きが整っていなければ、エネルギーを効率よく使えません。

海外では、トップアスリートの間でB12サプリが注目されており、「パフォーマンスビタミン」として利用されている例もあります。

■ 高齢者と菜食者に多い「隠れB12不足」

高齢者では、胃酸や内因子の分泌が減るため、B12の吸収率が下がります。

その結果、食べているのに血中のB12値が低いという人が増えています。

また、菜食者の方は「植物にもB12は含まれている」と思いがちですが、実際にはごく微量です。

海苔や味噌に含まれるB12は、体内で利用されにくい「類似B12」であることも多く、完全菜食の方は特に注意が必要です。

最近では、海外のヴィーガンコミュニティでも、B12サプリメントの常用はほぼ常識になっています。

「自然食だから大丈夫」と考えるよりも、現代人の生活環境では補助的にサプリを活用するほうが現実的です。

■ B12を補うにはどんな方法がある?

理想は食事からですが、どうしても不足しがちな人は、サプリメントで補うのが簡単で確実です。

特に人気なのは「メチルコバラミン」という吸収率の高いタイプで、神経への働きが強いといわれています。

一方、「シアノコバラミン」は安価ですが、体内で活性型に変換する必要があるため、効率の面でやや劣ります。

そのため、高齢者や体力をよく使う人にはメチルコバラミン配合タイプが好まれています。

サプリを選ぶ際は、B12単体ではなく、葉酸やB6など他のB群と一緒に摂れるタイプを選ぶと、代謝の流れがスムーズになります。

■ 海外で注目されるB12サプリの潮流

欧米では、B12サプリは「脳を守る栄養」として注目されており、NAD⁺やNMNなどの細胞エネルギー系サプリと併用する動きも見られます。

これは、B12がエネルギー代謝と神経伝達の両方に関与しているためです。

また、アメリカやヨーロッパでは、**サイクリストやトライアスリート向けの“神経系サポートフォーミュラ”**の中に、B12が定番成分として組み込まれています。

それだけ「思考のクリアさ」や「持久力」に関わる要素として認識されているのです。

■ まとめ:今こそ「見えない不足」に気づこう

ビタミンB12は、目立つ症状が出にくいまま慢性的に不足しやすい栄養素です。

気づいたときには、集中力や記憶力、気分のバランスにまで影響が及んでいることもあります。

もしあなたが次のどれかに当てはまるなら、今日から少し意識してみてください。

  • 魚をあまり食べない

  • 50歳以上である

  • サイクリングやジョギングなどをよくする

  • 菜食中心の生活をしている

この中のひとつでも当てはまるなら、B12を意識する価値があります。

そして何より大切なのは、「不足を補う」という発想ではなく、“脳や神経をいたわる”という視点です。

心の健康も体の健康も、神経のバランスが整ってこそ生まれます。

海外では、B12サプリは単なる栄養補助ではなく、「思考の明晰さを保つためのセルフケア」として定着しています。

現代を生きる私たちも、そうした習慣を少しずつ取り入れていくといいかもしれませんね。

(※この記事は栄養学の一般知識に基づいた情報であり、医療行為や治療を目的としたものではありません。)

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